「うちは……そんな事ありません。
それを言うなら、北斗さんの方がすごいです。
阿久津社長はどんな社員にも平等に優しい方ですし、北斗さんもあんなに大勢いる社員皆の名前を覚えていて、我が社の次期社長なのに私みたいな平社員にもすごくよくしてくれます。
社内でも北斗さんは評判が良いんです。 それこそ、お母さまが立派な方だからこんな優しい人になったのではないか、と私は思います
中卒なんて、やっぱり関係ありません。」
「あらまあ……」
母は照れくさそうに笑っていたが、彼女の言葉を聞いて恥ずかしかったのは俺の方だ。
まさかそんな風に思ってくれていたなんて。 たどたどしく不器用な彼女の言葉だから、なおさら嬉しいものだ。
「香ちゃん、食べて食べて~~。嬉しい~。うちは男ばかりだから、女の子の娘が出来たみたいな気持ち。
そろそろお父さんも帰って来るから
あ…!お父さんが帰って来たらコレクションしてる良いワインを開けてしまいましょうよ。
香ちゃん、お酒はいける?」
「はい…!大好きです!」



