少しだけ荷が重たいか。
付き合い始めたばかりで両親に会わせたいというのは……。
しかも今日の今日まで両親に会わせるというのを秘密にしていた。 ただただ’会わせたい人が居る’とだけ告げて。
それにしても実家に帰って来るのは久しぶりだ。都内の一等地に立つ一軒家はこの辺りでもひと際派手で目立つ。
父の趣味らしい。何事も派手にやる事が好きな人で、母は細やかな小さな家で良かったらしいが、俺が生まれてすぐに建てた家は日本家屋の由緒正しい建物の中でもちょっぴり浮いている宮殿のような家だった。
家族三人で住むには広すぎたし、専業主婦だった母は父の心配を他所にハウスキーパーを雇うのを嫌った。
その宮殿と見間違えるような家を見て、城田さんがドン引きしたのが分かった。
「ひぇッ…」と家の前で足を止めて、小声で言う。 その気持ち、分からなくもない。
真っ青になり、城田さんはこちらを見上げ目をぱちくりとさせた。
「すごい大きなお家ですね…。それにすごくお洒落…」
「そうかなあ…」



