「ご、誤解ですッ。私そんなつもりありませんし…」

「俺はその気満々だけどね?」

「だから……北斗さんは……もぉーーーー…」

どうしてこうも一つ一つ取る行動、仕草が新鮮なのだろうか。 ちっちゃくて思わず触りたくなり、頭をポンポンとすると

彼女はまた顔を赤らめて押し黙ってしまうのだ。 それがまた可愛くって、ぎゅっと強くその場で抱きしめた。

「北斗さん、ここオフィス前ですし」

「関係ないよ。うちの会社は社内恋愛は禁止されていないはずだけど」

フィット感が堪らない。 すっぽりと俺の体に包まれる彼女から、バニラエッセンスの甘い香りがした。

「ん?城田さんお菓子持ってる?」

「あ、今日は実は新作のクッキーを持ってきたんです。 北斗さんに食べて貰おうと思って」

「そりゃあちょうどいい。父も母も甘い物が好きだから喜ぶよ」

「ちょっとーーーー。
北斗さんのご両親に会うって言うのならば、もっと気合いの入ったお菓子を作ってきたのにぃーーー」

「大丈夫だよ。城田さんの作るお菓子は何でも美味しいし、きっと気に入ってくれる」