「え? それってどういう意味…」

「いえ、ごめんなさい。ちょっと言い方が悪かったです。
私、岸田さんの事ははじめ怖い人だと思っていたけれど、悪い人だとは思っていないから……
私みたいなタイプの人間に岸田さんが苛々するのは分かっています。けれど、一度だって仕事で見捨てようとした事はなかったから
どんな時だって文句を言いながらもフォローに回ってくれる人だから」

城田さんの言葉は胸にグサッと突き刺さった。
彼女ならば、てっきりと自分の意見に同意してくれると思っていたのは自分の思い上がりか。

それと同時に真っ直ぐに人の目を見つめる彼女を、強い意志の持っている女性だと再確認する。

こういった場では誰でも人に話を合わせる方が楽に決まっているのだ。 けれど彼女は真っ向から俺の意見を否定した。

「それに岸田さんは北斗さんの事が本気で好きなのだと私は思います。
自分を磨くのに努力だって沢山しているし、実は今日の洋服を選んでくれたのも岸田さんなんです」