「ああ、岸田さんは城田さんの教育係だもんな」
「ええ、入社当時から怖い人だと思ってましたが…」
分かる。 すっごく同意する。
俺には猫なで声を出して近づいてくる癖に、女性社員にはもっぱら厳しいのが彼女である。
思わぬところで城田さんと見解が一緒なのを知り、またホッと胸を撫でおろす。
「すっごく怖いよね…。」
「でも、すごく綺麗です。男性社員の高嶺の華だっていうのが分かります」
「そうかなあ、俺はあんまり……ああいう女性は苦手なんだ。
勝手にぐいぐい来て人を振り回して…
大体彼女って俺の上辺だけしか見ずに近づいてきているんだろうなあって
彼女にとって俺は阿久津フーズファクトリーの御曹司ってブランドが魅力的にうつっているだけなんだよ」
てっきり同意してくれるとばかり思っていたけれど、城田さんは真っ直ぐな瞳を向けて首を横に振った。
「意外です。 北斗さんはもっと人の本質の部分を見てくれる人だと思っていた…」



