雪子さん
智樹の元彼女。
ほんの一瞬、智樹が気の迷いで付き合ったあの子。
あの子のところに行ったに違いない。
だってあの子は智樹が好きなんでしょう? 私がいなくなって弱ったところを、付け込んだに違いないわ。
私は急いでLINEからその子のアドレスを探し出す。
正直いらなかったけど、お愛想として聞いておいて良かった。
『知りませんけど……』
戸惑った様子の声に、智樹との諍いで起きた苛立ちも落ち着いてくる。
まあやっぱり一時的に気まずくなって帰って来れないだけか。
ホッと安堵の息を吐く。
そもそも理想の都会暮らしの為に、住まいも奮発したのだ。一人分のお給料では住めないちょっと良い場所。別れたらここを出て行かないといけない訳だけど、そんなの絶対嫌だし、お金だって勿体ないものね。



