だからそいつの彼女がサークルに顔を出した時、正直言ってうんざりした。
 別に彼女連れて来るなとは言わないよ。
 他の部員も連れてきて見学とかしてるしな。

 でもなー、心象としては日向の彼女と聞いただけで関わりたく無かった。
 まあだからこっちも簡単な挨拶だけして気配消してんだけど。
 マネージャーの亜沙美が「可愛い彼女さん」何て褒め言葉を日向に言ったのをきっかけに、頻繁に連れて来るようになった。
 ……面倒くせ。日向だけでも鬱陶しいのに。

 とは言え関わる気が無いものだから、視界に入れないでいると、逆に変に意識するようになる。

(何か静かじゃね……?)

 チラリと見ればコートの端で一人座って観戦しているようだった。

 ……別にどこで見ようと勝手だけど……遠くないか?
 日向を見れば彼女の事は目にも入らないのか、別の部員と話し込んでいる。

(俺関係ないし……)

 結局そんな光景を三日も見たら俺の神経は根を上げてしまって……
 仕方がないので、それとなく「彼女さん」に近付いて、もっと皆の傍に寄ったら? なんて声を掛けてみた。