「嘘だ!」

 ショーウィンドウに向かって叫ぶ。
 俺はずっと愛莉に尽くしてきた。
 そんな俺がどうして愛莉と同じなんだ。

「俺は……」

『私の方が雪子さんよりも大事?』

 はっと息を飲む。
 それは付き合い始めたばかりの頃、愛莉が何度も聞いてきた科白。

『当たり前だろう。愛莉が一番だ。他の誰よりも』

 返したのは熱に浮かされて言った科白。
 雪子と付き合い始めたばかりだったのに……

 雪子に……

 好きだと、大切だと言った事があっだろうか……

『嬉しい、智樹大好き! ねえ、また来週飲み会に付き合わなくちゃいけないの。お迎えに来てくれる?』

『勿論行くよ、愛莉が心配だからな』

 ごくりと喉が鳴る。
 それは、
 雪子を一人で帰らせたあの日の……サークルの飲み会の科白。