やがて意を決したように河村君が私の両肩に手を置いて、難しい顔で告げる。
「俺は……俺がずっと三上さんを好きだったんだ。本当は俺から言いたかったんだけど……こんな、こんな時に付け込むようで、言えなくて……」
「え……」
 驚きに目を見開く私に河村君は、でも、と少しだけ躊躇ってから言葉を続ける。
 その目に籠る熱を見つけ、息を飲んだ。

「一緒にいたい。他の誰かに託す事も、放って置く事もしたくない。一番近くで、守らせて……」

 請う様に細まる眼差しに、自然と頷いて科白を返す。
「うん……一緒に、いて……」
 溢れる言葉ごと一緒に抱きすくめるように、河村君の両腕が私の身体をぎゅっと包んだ。
 込み上げてくる喜びに、ほっと息を漏らし、河村君の胸に頬を寄せてふと気付く。
 
(……なんだか私、凄く大胆な事を、しているような……)