──ちょっと、私の迷惑料どれだけ高いんですか? それ一応そこそこ良い値段の誕生石なんですが?? しかもお返しはいらないとか言っといて迷惑料は取るんかい。

 ……いやいや、いかんいかん。

 確かに迷惑を掛けたのはこっちなんだから……それに確かにもう不要なものだ。が、何だろう。なーんか神経逆撫でしてくるような真似ばかりされてる気がするよ。

「河村さんて、彼女とかいるのかなー?」
「……さあ」


 一転こちら(美夏)は恋の予感にときめきが止まらないご様子で……私は少しだけ冷静になる。

 まあ河村君と同じ部署で過ごすのはたったの二週間。業務全部を網羅するのは当然無理だし、担当外の私では仕事を通して話す事も無いでしょう。

「ああ、楽しみだなー」

 何がだろう……
 うきうきと食堂のパスタをフォークに巻きつける美夏を横目に、私は密かに息を吐いた。

(そんな事より失恋の相談に乗って欲しかったのになあ……)

 初めての恋人との決別に、意外と大きなダメージを与えられている。今日は週の始まりの月曜日。
 あー、二週間が長いなあ……

 そうやって無理矢理詰め込んだお弁当はお腹の中でずしりと重く(もた)れたのだった。