やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました


「私はもう、あなたの事を好きじゃ無いから、無理よ」
 ぐっと睨みつけるように眼差しを強め、口にする。拒絶の意を示すように。
 けれど智樹は怯まない。どこか懸命な様子で尚も話し続けてくる。

「怒っているのか? 悪かったよ、お前が優しいから甘えてさ。けどもう他所は見ない。俺にはお前だけだ。辛い思いをさせて悪かった」

 ゆっくりと伸ばされた手を見ては、首を横に振る。
 説得力も皆無なようだ。
「無理よ、もうあなた、余所見してるじゃない」

 けれど私の言っている意味が分からないと言う風に智樹は首を傾げる。
「愛莉さんから、目を背けてる……余所見でしょう?」
「だからそれは別れたって……」
「付き合って二か月位しか経ってないのに? そんなに簡単に大事な人を手放す人なんて、信じられる筈が無いでしょう?」
「違っ、あいつとはもう二年付き合って……あっ」

 思わず口を滑らせた智樹の科白に一瞬空白が頭を占める。
「……二股を掛けてたって事か? 最低だな」

 石化する私を庇うように、河村君の腕がしっかりと私を抱きしめた。

(うん、私、二股の事、知っていた……)