「雪子?」

 けれど戸惑う私に掛けられた言葉に、河村君が強張った。
 いや──

 河村君の視線の先に……私の名前を読んだ人物がいるからだ。
 学生時代はほぼ毎日見ていた反動か。

 懐かしいとすら思えるくらい、久しぶりに見たその顔は、元恋人──日向智樹その人だった。