きっと河村君は嫌な顔なんてしないけど。
 するなら困った顔だろうけど。
 そんな顔を見て、また好きになって……
「うん……」

 でもきっと、残るのは選ばれなかった切なさだけだと思う。
 けれど本当はそんな自分の気持ちと向き合わないといけなかったのに……

「謝らなきゃね……」
「まあそれもそうかもしれないけれど」

 美夏は枝豆に手を伸ばしながらポツリと呟く。
「喜ぶと思うけどねえ……あれだけ露骨に主張してたのに、振られたとか……むしろ何を下手こいてんだ、としか……」

 居酒屋のざわめきに消えた美夏の言葉はそのままに、私もまたジョッキを一気に煽った。