「何で?」
その声は妙に低くて、昏く眇められた眼差しに身体が竦む。
口を開くけれど言葉が出てこない。
喉に引っかかった科白は彼を説得できる類のものですら無いであろう、意味の無い単語。
「だって……悪いもの……」
語彙力無いなあ自分、と思いながら、これで引き下がって欲しいと期待を込めて、じっと河村君を見上げた。
「そんな事ないよ」
けれどそんな気配は見えない。
それなのに、いつものように笑っているようで、どこか元気がないような、寂しそうな表情に声が出なくなる……
躊躇っていると河村君の手がすっと伸びてきて私の手を握ってきたので肩が跳ねた。
(今まで手を繋いだ事なんて無かったのに……)
前回は指先だけだったし……それに、河村君は私に一切触れないかった。
いや、こないだ肩を抱いたのは恋人訳に必要な仕草だったから仕方がない。として……とにかく、今までずっと友達の距離感でしかなくて……



