「俺のがバイト終わんの遅いかもだし。それなかったら困んだろ」



「ですね…!ありがとうございます!

ていうか、もしかして…これ届けるために、わざわざこっちの棟まで来てくれたんですか?」



すると、なぜかみるみる真っ赤になる魔王の顔。




「え、なんで赤「くなってねーよバッッカじゃねーの!?」





そんなこと言われても明らかに赤くなってるし…どんどん赤くなってるし…



もしかして顔を真っ赤にするほど怒ってる!?





「すっすみません!わざわざ私なんかのために忘れ物を…」



「だからお前のためじゃねーって!なんつーか…散歩?散歩だ!そーゆー気分だったんだよワリイか!?あ!?」



「いや全然悪くはないですけど…!!」








「おい暁。もう行くぞ。あんまり庶民と喋るな」





ふ、と一瞬だけ私に冷たい瞳を残して



さっさと歩き始める宮前龍太郎。





「っ、行っとくけど、今日あんまり夜遅くなるんじゃねーよあと街頭のある道ちゃんと選んで歩けよ!じゃーな!!」





そんな言葉と恐ろしく怒りに満ちた瞳を残して、魔王も宮前龍太郎の後に続いた。