目玉焼きにウインナー。



魔王はパン派だから焼いたトースト。私はご飯。




テキパキと準備をしていると、魔王の部屋のドアが開く音がした。にゃ~、と私の足元でにゃにゃ丸が鳴く。





朝激弱の魔王にしては早いなあ、と思いながら振り向くと。





「はよ」



「お、はよ…って、髪がっ…!!」






どこか照れくさそうに視線を泳がせる魔王の髪の毛は、真っ黒になっていた。






「ど、どーしたんですか…!!」




「…変?」




「いや、全然変じゃないですけど、雰囲気変わりますね…!!」





切れ長の鋭い瞳はいつも通りなのに、黒髪にしただけで魔王感は半減だ。





「まぁ別に深い意味なんてねーけどっ」





ぶっきらぼうにそう言いながら、席に着く魔王。





「髪傷むしな、赤は。けっこー維持が大変なんだよ」



「な、なるほど」



「それに」






魔王の鋭い瞳が、私を捉える。





「りのが、そのままの俺でいーっていうから。たまには元に戻すのもいいかなって」