「そういうことだから。行こ、りの」




魔王に手を引かれて、そのまま部屋を出た。





部屋を出る間際、壁際に控えた東雲さんと目が合って



にっこり、今日一番嬉しそうな笑みを向けてくれた。







―――…








「……あの。

あ、あんなこと言っちゃって本当によかったの…!?!?」





魔王の家から出て、駅まで歩きながら




私は恐怖に震えていた。





そんな私の隣で魔王は余裕そうな顔をしている。





「知らね。でもビックリしてたな、俺があんな風に言い返したの初めてだったし」





そして、ふ、と思い出し笑いしている。



魔王はさっきからずっとご機嫌だ。





「…やっぱりさすがにででででデコチューはまずかったのでは…」



「…あんくらいしないと説得力ないかなってー」



「で、でも私もなんか説教しちゃったしっ」



「はは、かっこよかったな、りの」





魔王の右手が私の左手にちょん、と触れて。




そのまま力強く、繋がれる。