「生まれてはじめて、絶対に手放したくないって思った。だから絶対手放さないよ。…父さんに何を言われても」



大魔王は一瞬目を大きく見開いて、



だけどすぐに、いつも通りの表情に戻った。





「そんな娘と付き合って何の得がある?」




「俺が幸せ。それ以外になんか理由いる?」






ちゅ、と魔王が私の額に口づける。






「ちょっちょ、ま、魔王…何して!!」





T!P!Oが全部間違っている気がするよ…!!






「くだらん」




あたふたする私の耳に聞こえた、吐き捨てるような声。





「目の前の愛だの恋だのになど何の価値もない」



「それは俺が決める」






魔王が私の顔を胸板に押し付けるようにして、抱きしめる。





「この先の人生も、一緒にいる人も決めるのは俺だ。


…この会社を継ぐかどうかも」




「…暁、」






「俺は俺の好きなもん持って生きてくって、決めたから」