自然と、廊下を歩く足が速くなる。




正直めちゃくちゃ楽しみなんだもん。




地獄の勉強合宿だけど、魔王とこーゆうイベント一緒にするのも初めてだし、一緒に花火見るのも初めてだし。





「楽しみ、だなあ」





思わずそんな独り言が漏れたとき、




「あのっ…!」




後ろから誰かに声をかけられた。





振り向くと、今にも泣きそうな顔をした女の子が。




すごくかわいい子。だけど、それだけじゃない、どこかで見たことあるような…




思い出す前に、その女の子が私に駆け寄ってきて言った。




「あのっ、この辺でいちごのストラップ落ちてなかったかな?」



「いちごのストラップ?…ごめん、見てないや」



「そっかー…」





しゅんと項垂れる女の子。


どうやら、この子にとってすごく大事なものみたい。