「えっ、あ…し、知ってるけど」



「そっかー。女子は好きだもんね、そーゆーの」



「でも、魔王はただ純粋に、花火が好きなだけだと思うよ?花火大好きって言ってたし」



「暁が花火を?」





ぶっ、とまるで堪えられないとでもいうように口元をおさえる宮前龍太郎。




「え、ちょっと何で笑うの」



「ごめんごめん。そっか、そーゆーことになってんだね」




口元から手を離した宮前龍太郎の唇は、にっこりと綺麗な弧を描いていた。





「…宮前龍太郎は来ないの?」



「え、俺?」



「うん。だっていつも一緒にいるじゃん、宝示さんと」



「…いつも一緒、かー」





宮前龍太郎がゴロン、と突然アスファルトに寝転んだ。





「行かない。俺、残念ながら花火あんまり好きじゃないんだー」



「そうなんだ」



「ま、暁と2人でゆっくり楽しんでよ?」





そう言った時の宮前龍太郎の表情は、太陽があまりに眩しくて、よく見えなかった。