「…佑奈突然何言ってんの?」


「え?違うの?」


「な、ま、魔王が私なんかのこと好きになるわけ…」


「へー、自分が好きってことは否定しないんだ?」





しまった。




目の前にはしてっやたり顔の佑奈。





「…はめたな?」



「でも、魔王がりののこと好きなんだなって思ったのもほんとだよ?」





にっこり笑って、佑奈がようやく、長らく放置していたチョコレートケーキをスプーンですくった。




「好きでもない女にしては、かなり優しいじゃん?りのに」



「それはー…魔王は実は、けっこう優しいヒトだから」



「ふ~ん?」



「こんなニヤけ顔の佑奈はじめて見たよ…」





「でも、よかった。今日1日思ったより平和で終わって」





佑奈の言葉に、思わずシフォンケーキを食べようとしていた手が止まった。






「魔王のファンがなんかしてくるのかな~って思ったけど」



「う、うん。そうだね」





佑奈にはまだ言ってない。


画鋲のことも、教科書のことも。





佑奈はこう見えてけっこう正義感が強いから、私がこんな目に遭ったってわかったら犯人を探してとっちめてきそうで。



そしたら、佑奈まで、ターゲットにされるんじゃないかって。それが怖い。