「…仕事?」


「そうです、仕事です!私は宝示さんの、召使いですから!」




これで引き下がってくれると思ったのに、魔王はなぜかすごく不機嫌そうに、眉間にギュッと皺を寄せた。




魔王…顔がいつになく魔王だよ!?




「ど、どうしました…?私何か気に障るようなこと」



「…失敬な奴」



「死刑!?」



「はぁ?ちげーよバカ」





魔王が、私の手からニンジンとピーラーを取り上げた。





「バカにすんな。こんくらい俺にだってできんだよ。…たぶん」





そして恐る恐る、ニンジンの皮をむき始める魔王。




その手つきはまるで初めて料理をする子供のように不器用だけど






「お、なんか俺意外とうまくね?」



「ふふ、ですね」



「ヨユーだな。おい、次はジャガイモの野郎をよこせ」





胸がじんわり、あたたかくなった。