「なんだアイツ」




魔王が吐き捨てるように言って、ソファに体を投げ出すようにして座る。




「あーつっかれた」


「す、すみません。あんなに大雨の中探しにきてもらって…」


「ちげーよ、そっちじゃなくて。
呉葉と話してると昔っから疲れんだよ」





冷蔵庫からいちごミルクを取り出して渡すと、「さんきゅ」と顔を綻ばせた魔王がストローをプスッと差す。




かわいい…と内心思ってしまった私はもうけっこう重症だ。




「なに」



不意に魔王がいちごミルクを飲むのを中断して私を見た。



「俺の顔になんかついてる?」



「え!い、いえいえいつも通り険しい瞳と尖りすぎた眉しかついてないです…」



「喧嘩売ってんのかオマエ」





私も何か飲もうかな~とキッチンに逃げた。




い、いかんいかん。自覚した途端すぐにこれ…





平常心!平常心!!