「……ん。あ、そ」




そっけない言葉とは裏腹に、優しい手つきで私の頭をやわやわ撫でる魔王。




「……なんで撫でるんですか」



「……知んね」



「……にゃにゃ丸じゃないですよ、私」



「似たようなもんじゃね?」





それからしばらく、魔王が私の頭を撫で続けるという不思議時間が続いて。




つるつるお山に叩きつける雨の音が弱まっていたことに気づいたのは、それから何分後のことだったんだろう。





「おー。星すげー」


「ですね。すごいゲリラ豪雨でしたね」





つるつるお山から外に出ると、さっきの大雨が嘘のように綺麗な星空が広がっていた。




「帰ろーぜ」





魔王が私に向かって手を差し出す。





「あ、帰りにコンビニな」



「いちごミルクですね」



「当たり前」





できるだけ自然に見えるような仕草で魔王の手に、自分の手をのせた私は





唐突に



まるで息をするように当たり前で




それが、ずっと前から決まっていたことのように




思った。







――わたし、魔王のことが好き。