目が熱くて。


顔も熱くて。




…なんか泣きそう、だ。




「ぐっ、ぐすっ…」




というか泣いた。





「っはぁ!?な、なに泣いてんだよ急に!?」





暗闇の中でもめちゃくちゃうろたえてることがわかる魔王。





「…な、なんか、わ、かんないですっ…」



「……おまえ。もしかしてよっぽど呉葉にヒドいこと言われたのか?」



「そうじゃ、なくて」





私だって予想外だ。



まさかつるつるお山の中で泣くことがあるなんて。





「き、気づいたら寝てて、起きたら夜で、充電切れてて、大雨でっ…」



「……アホだな」



「で、宝示さんは今、呉葉さんと何してるんだろ、って…考えてて。だから」






ほんとに、予想外だ。



魔王のこと





「今目の前にほ、宝示さんがいてっ…なんかすごく、嬉しい、です」





こんな風に思うことがあるなんて。