「呉…「白雪姫!?」




肩に腕をまわしたまま佑奈が大声を出したせいで、耳がキーンとなった。




「…白雪姫?」




目の前で腕組をした白雪姫――こと呉葉さんが眉を寄せる。





「そうですそうですっ!あの不用心に毒リンゴを食べたせいで眠っちゃうあの女ですっ!」


「は?」


「わ~肌めっちゃ白い!黒髪すっごい綺麗ですねー!」





特別クラスオタクの佑奈はほんとに感激しているらしく、握手を求めていた。



まんざらでもない様子で握手に応じた呉葉さんが私に視線をうつす。




「で、私はあなたに用事があって来たんだけど」


「私に用事…ですか?」




家じゃなくてわざわざ一般棟にまで訪ねてくる用事ってなんだろう?




不思議に思っていると、呉葉さんがその艶やかに光る黒髪を優雅に払って言った。





「今から買い物につきあってくれない?」