「はあ~。久しぶりにいっぱい買って満足ー」



両手に大きな紙袋をいくつも持った呉葉さんが満足げに笑っている。



「ちょっと重~い。暁持ってくれない?」


「…お前、自分で持てる分だけ買えよ」



ぶつぶつ言いながらも、呉葉さんの手からいくつか紙袋を受け取る魔王。



魔王って、こう見えてけっこう優しいんだよね。




「おい」




そんなことを思ってたら、魔王が話しかけてきた。




「りのはなんか見たい店ないわけ」



「え、見たい店ですか!?う、うーん…特には…」




正直言うと、どの店も高級そうすぎてお呼びじゃない感がすごいです。




「そーいえば、さっき試着してたワンピースは買ったの?ほら、龍太郎とラブラブで選んでた」



呉葉さんも話に入ってくる。




「いや買ってないです。というかラブラブって」


「買えばよかったのに~!すっごい似合ってたのにもったいなー」




そう言ってなぜか肩を抱いてくる宮前龍太郎!




「ちょっ…と、くっつかないでください!」


「えーなんでー?」


「なんでも!!」




なんとか宮前龍太郎を引き剥がしたら、バチッと魔王と目があった。



だけどすぐに視線を逸らされる。



ん?なんか機嫌悪そう…?