「あ?俺は自販機に来たかっただけだっつーの」


「飲み物なら特別棟のカフェテリアに行けばいいでしょ。…もしかして、この子に会いにきたとか?」


「は、はぁぁああ!?」




魔王の顔が髪の毛と同じくらい真っ赤になった。




「なっおまっ、ばばばっかじゃねーの、んなわけねーし!!」


「…暁、そんな顔色で言われても説得力ないぞ」




クイッとメガネを持ち上げながらそう言い放つ宮前龍太郎。


相変わらず学校だとキャラが違いすぎるな。




それにしても




「そうですよ呉葉さん!私に会いたかったとかそんなわけないですよ。宝示さんもともとこっちの自販にたまに来るんで!ね、宝示さん」


「お、おーまぁな」




私のフォローに魔王も動揺しているのか相変わらず真っ赤な顔のまま頷いたけど、呉葉さんはまだ納得してないみたい。




「アヤシー。だいたい何でこんな女と同居してるわけ?ほんとセンス疑うんだけど。使用人にするにしたってもっとマシな…」


「呉葉」




魔王の地を這うような低い声が呉葉さんを遮った。





「これ以上こいつのこと悪く言ったらぶっ飛ばすぞ」