「ひっ!ご、ごめんなさい!!」



佑奈と、なぜか咲良ちゃんまでガバッ!と勢いよく頭を下げると、2人は転がるように走っていってしまった。



「…ちょっと!なんで私の友達に凄むんですか!!」



「…あ、わりー。つい」



「ついじゃないですよ!!しかも下の名前で呼ぶって、驚かれるに決まってるじゃん…!」




絶対教室に戻ったら問い詰められる、なんて言おう…。




頭を悩ませる私に




「…嫌、だったのかよ。俺に名前で呼ばれんの」




魔王がどこか不貞腐れたように聞いてくる。





「え?いや、別に、嫌ってわけじゃ…ないですけど」



「……あそ」



「……はい」





しーん。




って何この沈黙は!?しかもなぜか!!むず痒い!!!!





「…あのさ」




そんな沈黙を破ったのは魔王だった。




「お、俺、お前にも「ねぇ暁」





何か言いかけた魔王を遮って、呉葉さんが私を睨みつけたまま口を開く。





「なんでこんな所に来たの?こっちは庶民の生活圏でしょ。私たちには場違いよ」