「昔っから自分勝手なんだよあいつ」


「まぁ呉葉さんの気持ちもわからんではないですが…あの特別クラスのカフェテリアのご飯とかと比べたら、貧乏臭さは否めませんし」


「はぁ?くっだんね」




そう言って魔王は当たり前のように肉じゃがを頬張ってるけど、



たぶんこっちの方が異常な光景なんだと思う。



あのカフェテリアで豪華な食事に囲まれてる魔王はすっごい自然だし…。





“暁こそ、よくこんな庶民みたいなご飯食べれるね?庶民ごっこの成果出てるんじゃない”




「ごっこ…」


「あ?」


「宝示さんは何で修行してるんですか?」


「はぁ?修行?」


「一人暮らししてんのは修行だって、前に言ってたじゃないですか」


「あー…」





宝示さんはなぜか少し気まずそう顔をしていちごミルクを飲んだ。(肉じゃがといちごミルクは絶対にあわない)





「ま、修行つーか…正直言うと、ただあの家にいたくなかったんだよ」



「え、そうなんですか?」



「そ。うちの父親クソみたいな奴だから。呉葉とのこともそう。俺の意思は無視して勝手に婚約とかしやがって…」




魔王の瞳が陰る。