「…何この質素なご飯」




今日の夕ご飯のメニューは、肉じゃがに豆腐とワカメのお味噌汁、焼鮭、白いご飯。




「え、そ、そうですか…?」




決して手を抜いたわけではなくいつも通りなんだけどな…




「貧乏人のご飯みたいじゃない!なんか全体的に茶色いし!」




そう言われれば味重視で彩りは考えたことなかった…!!





「…おい、呉葉」




ショックを受けていると、肉じゃがに箸をつけようとしていた魔王が、ギロリと呉葉さんを睨んで言った。




「ごちゃごちゃうるせんだよ。嫌なら食うな」



「っ、暁こそ、よくこんな庶民みたいなご飯食べれるね?庶民ごっこの成果出てるんじゃない」



「…てめー」




魔王が立ち上がる。



や、やばい…なんかオーラの黒さが尋常じゃない!!




「ま、まぁまぁ!呉葉さん、もし食べたくなかったら今からでも何か買ってきま…」


「うるさいっ!」




呉葉さんは私を睨みつけると、身を翻してリビングを出ていった。



ガチャガチャ、バタンッ!と玄関のドアが閉まる音がする。





「え、ちょっ、出てっちゃいましたけど!」



「ほっとけ」




不機嫌そうにそう言って、魔王が肉じゃがを口に運んだ。