「あ、あのー。朝から喧嘩は…」



「誰のせいだと思ってんの!?」




キッと呉葉さんがその大きな瞳で私を睨む。えっ私のせい!?




「あーもうイライラする。
フレンチトーストが無理ならせめてオレンジジュースを出して。言っとくけど果汁100%のやつじゃないと無理だから!」


「え、果汁…」



「あと靴磨いといてくれる?それと、」




「だからいい加減にしろ」





魔王が低い声で呉葉さんを遮った。





「あら、何か問題でも?私は使用人に用事を頼んだだけだけど」


「勘違いすんな。こいつは俺の召使いであってお前の使用人じゃねーよ。こいつをコキ使うのは俺だけで十分だ」


「はぁ?何それ?なんかすっごいムカつく」





「あの!!」




今度は私が遮った。


いい加減出発しないと、学校に遅刻してしまう。


まぁ毎日VIP登校の魔王には関係ないお話だけど…。





「私もう学校行きますね!じゃあ、お二人はごゆっくり」


「おいちょっと待て。俺の弁当は?」



バタバタと家を出ようとする私に、魔王が困惑したように聞いてきた。




「ああっ!すみません!今日はありません!!」