「宮前さんが?なんですかね」


「さあ?どうせくだんねー用事だろ」



死ぬほどめんどくせーわ、と殺人鬼なみに眼光を光らせながら言ってるけど、ちゃんと行くということはやはり、なんだかんだ仲良しなんだろうか。




「じゃあ行ってくるわ」


「はーい、気を付けてー」




でも、なぜかドアノブに手をかけた魔王の動きが、そこでピタッと止まった。




「? どうしたんですか?あ、もしかしていちごミルク忘れ…」



「りの」




ひゅ、と言葉が途中で引っ込んだ。




「…い、行ってくるわ!!!!」




ガチャガチャ、バタンッ!!



必要以上の大きな音をたてて閉まるドア。




りの、って…





口をおさえてズルズルとその場に座り込んだ。




見てしまったし。耳がすっごく真っ赤だったの。




…なに?この破壊力。


なぜか激しい動悸が…!



このツンデレ攻撃が、真の魔王の実力…!!?




「にゃにゃ丸…薄々気づいてたけど…あんたのご主人様、めっちゃツンデレかも」




傍にすり寄ってきたにゃにゃ丸の頭を、今度は私がワシャワシャ撫でた。