魔王が少し視線を下げる。



呆気にとられて手を引っ張られるままの私と目が合う。




「…い、いちごミルクの補充係としてな!!」




とってつけられたような言葉と一緒に、ブンッと音がしそうな勢いで魔王が視線を前方に戻した。





「…は、はい…いちごミルク補充係、が、がんばります…!」



「…おう!」



「はい!」





そうだよね、魔王にとっていちごミルクは命、つまりそれを補充する係の私は命綱!


だからいなくなられると困る、ってことだよね。




頭ではわかってる。わかってるけど、






――じゃあ、この繋がれた手の意味は…?





極悪非道、冷徹無慈悲の魔王様なんて学校で呼ばれている彼の手は、だけどすごく、あったかい。