「…ふーん。知りたいって思う?」



「え?」




「ホウジ茶くんのこと」





嵐くんの瞳の中に、いつもとは違う色を見たような気がするけど



この、静かすぎるくらいの夜の公園のせいかもしれない。





「そうだねー…
なんか謎なんだよね、魔王って。

すっごく怖い人だと思ってたのに、意外と優しいところあるし…でも人のこと石コロとか言ってくるし、

人間には厳しいくせに猫には引くほど優しいし。

なんか知れば知るほど謎深まりそうかも」





にゃにゃ丸~♡と床にひざまずき猫を愛でる魔王の姿を思い出して、思わず笑ってしまう――と、





「…そんな顔して笑うんだ」




切羽詰まったような声が聞こえて





「ねえ」




きゅ、と手首をつかまれる。




「あ、嵐くん?どうしたの?」






なんか、いつもと様子違う…?





「…俺も」





嵐くんがまっすぐ私を見つめているのが、暗闇の中でもわかる。






「俺のことも、見てよ?」