「りのとホウジ茶くんてケッコー仲良しなんだね、なんか妬けるなー」



はい、と私にあんまんを手渡しながら、嵐くんが衝撃発言をするinいつもの公園。




「…なんか今幻聴が聞こえたような?私と魔王が仲良しとかいう…」



「幻聴じゃないよ大丈夫、きみの耳は正常だ」




ふっとニヒルに微笑んだ嵐くんがドカッと隣のブランコに腰かける。



おにぎりの包みを破る手つきは心なしかいつもよりも乱暴だ。





「あーあ。ちょー残念。ライバル出現てやつ?しかもあの御曹司とかー」



「え…嵐くん、魔王の正体知ってたんだ?」



「そりゃ知ってるでしょ?ホウジって言ったら知らん人いないよ?つか、その前に店長が超自慢げに語ってたしー、うちに御曹司がバイトに来るなんて俺の本部への昇格も夢じゃないかも!?って」



「ははは…超言いそう」



「てかさー、なんで御曹司がふつーのファミレスでバイトなんかしてんの?今世紀最大の謎なんだけど」



「あー…なんか、修行?っぽいやつ?的な?たぶん」





実のところ私もよく知らないんだよね。




一人暮らししてるのは修行って言ってたけど、そんな修行する意味もわかんないし。



普段の魔王は、特に御曹司っぽさはまるでなくて。




私と同じゴハンを食べて、歩いて学校に行って。ベッドはやたらフワフワだけど。





「…知らない…んだよね。ほんとに、何も」





ほんとは、ブラックコーヒーよりもいちごミルクが大好きってことくらいしか。