噂をすればなんとやら。



やけに軽い足取りで、「やぁ~ぼくの可愛いバイト達よ~」と、珍しくハイテンションの店長が近づいてきた。




「さっそくだけど今日からまた新しい子が入ることになってね!」


「はい、ちょうど今その話してました」



「実は今さっき面接終えたばっかりなんだけど、どうしても今すぐに働きたいって僕を脅し…

いや、熱く訴えてくるものだから、僕は聞き入れざるを得なかったよ…!若者の熱い想いを無下にすることはできないからね!」




そして、




「宝示く~ん!」





と奥にむかって呼びかける。







…ん?今、すごく聞き覚えのある某魔王と同じ名字が聞こえたような…





「なんか珍しい名字だな~ホウジ茶?」




隣の嵐くんが私に話しかけてくる。




「ホウジ茶ではないと思うけど。別にそんな珍しくもないんじゃない?私の学校にも一人いる…し…」







そんな他愛もないことを話す私たちの前に現れたのは






「…はじめまして。新人の宝示です」







真っ赤な髪の毛に、ゴツゴツのアクセ。




平和の象徴のようなファミレスの制服が死ぬほど似合っていない







「魔…ほっ、宝示さん!?」




「…よ。先輩」







ホンモノの、魔王だった。