フィオナとエヴァンに声をかけてきたのは、フィオナたちが入団した初日に上司になった男性だった。

この男性は、2人が入団した初日に『団長がお金を要求したらすぐ渡すように』と言ったのだ。

「……はい」

フィオナとエヴァンは、男性の言葉に頷いた。



「……どうして、この劇団の人が次々に行方不明になっていくんだ!?」

団長は、フィオナとエヴァンの前でそう言って壁を蹴る。

(……あなたが犯人なのにな)

フィオナは、そう思いつつ団長を見つめた。劇団に入り、調査した結果……団長は暴力と圧力で人を支配し、お金を払えない人間は「無能だ」と言って殺していたことが発覚したのだ。

今日は、それを団長に伝える日。拳を握り締めるフィオナを、遠くからシオンとサルビア・ホープが見守っていた。

「……その犯人、僕……知ってますよ」

「一体誰なんだ!!」

団長は、そう言ったエヴァンの肩を掴む。エヴァンは少し俯いた後、「あなたですよ」と団長を見つめた。

「……は?お前、何を言っているんだ?」

「自分の罪を認めないんですね……僕らは、今まで潜入捜査を行っていました」

エヴァンが団長に向かってそう言うと、団長は顔を真っ青にする。