「……我々ブラックローズ家は、初代当主が考え出した独自の宗教を信仰して生きています。先程もお話した通り、お祝いの場では黒いバラの花びらを撒いたり、双子は不吉なために生まれたらどちらか片方を捨てる……そう言う内容です」

「……」

(黒いバラの花びらを撒く、双子が生まれたら捨てる……か……)

「そういえば……30年ほど前、双子が生まれて片方が施設送りになった……という話を両親から聞いたことがあります」

「……ありがとうございます」

(……そうか。今起きている黒バラの事件を起こしているのは……捨てられたブラックローズ家の人間なのか)

そう推測したフィオナは、当主に頭を下げた。



「……それで、何で僕も?」

新たな事件の調査で有名な劇団の小道具係として入団したエヴァンは、大きな箱を抱えながらフィオナを見つめた。

「仕方ないでしょ?エヴァンは、強いから」

「そう言うフィオナも強いと思うけど……でも、今回の事件は気になるね……確か、この劇団に入団した人々がある時を境に行方不明……になってるって事件だよね?」

エヴァンの言葉に、フィオナは「うん」と頷く。

「おい。フィオナにエヴァン。団長がお金を要求してるぞ……行ってこい。それと、衣装係の人がいなくなったという話だ」