猫と距離があった頃、また一人にされてしまうんじゃないかと怯えていた。何でだろうね。相手は言葉の通じる人間じゃなくて猫なのに……。どうしてこんなにも寂しい気持ちになったんだろう。

猫とは最初の頃は距離があったけど、今では僕のそばに寄ってきてくれる。今も僕に体を擦り寄せてくれるんだ。

「あったかい……」

こんなにも小さいのに、猫の体は温かい。僕と同じように血が流れているから当然だ。でも、当たり前のことに何故か感動してしまう自分がいる。

気付いたら、目の前がぼやけていた。胸がとても苦しい。でも、猫に触れているみたいに温かい。

僕の目からボロボロと落ちていく涙を、猫はジッと見つめていた。そして僕に尻尾を軽くぶつけてくる。まるで、小さな子どもをあやす母親みたいに……。

「……ずっと……ずっと……寂しかったよぉ……」

一人は平気、そう言い聞かせていても心のどこかではずっと辛かった。公園で一人、夕焼けをボウッと見るのが寂しかったんだ。