クリスマスを楽しんだ帰り、道哉は私をアパートまで送ってくれた。

「あ、そうだ。これ」

道哉が渡してくれたのは、クリスマスケーキとタッパーに入った料理だった。

「おばさんにあげて?」

「ありがとう…道哉のご家族にはいつも優しくしてもらって…」

つい私は涙ぐんだ。

「何言ってるの。優しいのは紫苑のほうだよ。俺は紫苑みたいな優しい子、他に知らない」

「私は…単に弱くて優柔不断なだけだよ…」

「そんなことないよ。もっと自分に自信持ちな?」

玄関を開けると、道哉は段ボールと食べ物を置いて

「おばさん、もう帰ってきてるんだろう?」

「うん、いまお風呂入ってるみたい」

「じゃあ、またね」

「ありがとう!」

道哉は笑顔で帰っていった。