しばらく、私たちは無言でブランコを揺らしていたが

「帰ろうか」

道哉が言うので、一緒に帰った。

二人の帰る場所は、私のアパート。

小学生の頃から、道哉は私の母が帰宅するまでの間、私のアパートで宿題をしたりおしゃべりして過ごしていた。

安アパートなので、オートロックなどもあるはずがない。

知り合った頃、道哉のお母様は、私の母の帰りが遅いため、夜、アパートで私が一人でいることを心配していた。

すると

「じゃあ、俺が一緒にいるよ!」

道哉は心強い言葉をくれた。

「そりゃ、あんたがついていたら、その方が安心だけど…紫苑ちゃんやお母様は迷惑じゃないかしら?」

「そんなことありません!道哉くんが居てくれたら安心します」

そんなやり取りをしたあと、私の母と道哉のお母様は、何らかの話をして、夕飯は私が3人分作るか、道哉のお母様がお弁当を用意してくれるかのどちらかで、放課後、母が帰宅するまで間はいつも道哉と一緒だった。

それは、その日も同じだった。