そんなところに収監されていると、最初のうちは「こんなところに来たって、必ず脱獄してやるよ!」と息巻いていた凶悪犯たちも、過酷な監獄での生活に次第に心が疲弊し、何の感情も持たずに刑務作業をするようになる。ここにいる囚人は、多くが看守たちの良いおもちゃであり人形だ。

「六百三番、作業の時間だ。出ろ」

檻の鍵が開かれ、汚物を見るような目で看守がジャックを見つめる。ジャックはそんな目を向けられているというのに、ニコリと笑った。

「待っていたよ!枷が窮屈でさ〜」

ニコニコと笑うジャックに対し、「お前、気持ち悪いんだよ」と看守は睨む。しかし、ジャックはそれを無視して枷を外されるのを待った。

七年もこの場所にいて、ジャックがこうして笑えるのは一人の狂った女性の存在があるからである。檻から出れば、その人に会えるかもしれないのだ。

「今日も会えるといいな……」

ジャックは胸を高鳴らせながら、廊下を歩いている間、その女性の姿を探した。