愛や恋というものが、いつでも煌めいていると思ったら大間違いだ。少なくとも、この場所で純愛を育もうと思える人はそうそういない。

ジャック・ジョーンズはぼんやりと白い天井を見上げる。天井には監視カメラがつけられ、窓には鉄格子が嵌められている。この部屋に出入りすることができる扉は固く閉ざされ、ジャックに開けることはできない。そして、ジャックの手足には枷がつけられて行動を制限されている。

「ここに来て、今日で七年か……」

ジャックは自分の腕を見る。腕には、ここに収監された日が掘られている。ジャックはフッと笑い、また天井を見上げた。

ジャックは監獄に収監されている囚人だ。犯したのは殺人。それも、一人や二人ではなく、数え切れないほどの人数を殺した。逮捕され、下された判決はもちろん終身刑である。

ジャックが収監されることになったのは、凶悪犯だけが収監されている世界屈指の警備力を持った監獄だ。監獄は離島の地下にあり、脱獄は不可能。もしも脱獄をしようものなら、容赦なく撃ち殺される。