カチカチ、カチカチ。
 コントローラーのリモコンを押す音と、画面から聞こえる効果音のみが耳に届く。
 普段から、麻汐(ましろ)はこんな感じだ。帰れば速攻部屋に籠ってゲームをし続ける。
 けれど麻汐は、学校とは全く違う顔をする。学校では、麻汐は副生徒会長という地位の高いところに椅子を置いている。クラスメイトからも厚く信頼され、次期生徒会長の候補として位置づけられている。
 だが今の麻汐はどうだろう。部屋をある程度まで暗くさせ、外部の音を遮断するかのようにヘッドフォンをし、カーテンまで閉めて部屋の小ぶりな本棚に目もくれずひたすら画面を凝視している。