湊に会いに行くのもこれで最後にさせる。

今日こそサヨナラするんだ。

そう、心に誓ったはずなのに。

だけどやっぱりこれで最後になんてさせたくないなんて心の何処かでは矛盾が生じている。


……嫌だよ。
本当は離れたくなんかない。

ずっとずっと一緒にいたいだけなのに。



それなのにどうしてこの想いは届かないの?

わがままな奴を想って、勝手に涙が溢れ出した。

それでも、そんなわがままな奴に一刻も早く逢いたかった。


嘘でもいいから、ぎゅってあの大きな身体で優しく抱き締めて欲しかった。

たとえ湊に抱きしめられる女の子が私一人じゃなかったとしても、あの温かい腕の中なら安心出来るから。


いつもの通い馴れた道を歩く足が無意識のうちに速くなっていた。