「まあ、今回のところはこれくらいにしてやる。

ただし…」

尾関は弘人の胸ぐらをつかむと、自分の目の高さまで持ちあげた。

「今後もし柚愛に危害をくわえるようだったら、この程度じゃ済まされないと思え。

場合によってはお前を社会から抹消する、いいな?」

「ーーは、はい、わかりました…」

弘人が返事をしたのを確認すると、尾関は胸ぐらを離した。

「ーーッ…」

ドサッと、弘人はその場に座り込むことしかできなかった。

「行くぞ」

尾関は覆面たちと一緒に弘人の前から立ち去った。

弘人は彼らの後ろ姿を見つめることしかできなかった。

「ーーイテテ…」

痛む鼻と躰を感じながら、弘人は自分の手から飛ばされてしまったカバンとエコバックを探した。