公然の秘密

まさかこんなにもトントン拍子に話が進むとは思わなかった。

「どうだった?」

待っていたと言うように、尾関が声をかけてきた。

後片付けはとっくに終わっていたはずなのに、自分が両親との話が終わるまでそこで待っていたのだろう。

「大丈夫でした」

柚愛は答えた。

「うん、そうか」

尾関はホッとした様子を見せると、
「風呂に入ってくる」
と、言ってリビングを後にしたのだった。

尾関の後ろ姿を見送ると、
「ーー大違いだな…」
と、柚愛は呟いた。

弘人とつきあっていた時は、こんなにも話が進んだだろうか?

「そう言えば、同棲を始めた時も変な感じだったよね…」

柚愛は呟くと、当時のことを振り返った。