公然の秘密

「そう言う相手は…」

柚愛が聞いたら、
「いたと言えばいたけど、施設育ちだと言うことや両親がいないことを打ち明けたら離れた。

相手から変に同情されるよりかはマシだと思って自分に言い聞かせてたけど、やっぱりつらいものはあったな」

そのことを思い出したと言うように尾関は答えた。

「麗一さん」

柚愛は箸を置くと、尾関を見つめた。

「…どうした?」

そう聞いてきた尾関に自分はどんな顔をしていたのだろうか?

「ーー不束者ではありますが、よろしくお願いします」

柚愛はそう言って頭を下げた。

「な、何だよ、急に…いきなり過ぎてビックリしたわ…」

突然のように頭を下げて言ってきた柚愛に尾関は戸惑ったようだった。

「まあ、その…こちらこそ、よろしくお願いします」

そんな柚愛に倣うように、尾関も頭を下げた。