公然の秘密

柚愛がお風呂からリビングに戻ると、テーブルのうえには夕飯が並べられていた。

「…これ、麗一さんが1人で作ったんですか?」

そう言った柚愛に、
「…俺以外に誰がいると思っているんだ?」
と、尾関は言い返した。

テーブルのうえにあるのは親子丼になめこのみそ汁、しらすとピーマンのおかか和えだった。

「簡単なものであれだけど…もし口にあわないと思ったら残してくれていいから」

そう言って椅子に座った尾関に柚愛も椅子に腰を下ろした。

「いただきます」

両手をあわせると、一緒に夕飯を食べ始めた。

「…美味しい」

そう言った柚愛に、
「そうか」

尾関はどこかホッとした様子を見せた。

「人に料理を振る舞うのは初めてだったから不安だったんだ」

尾関はそう言うと、親子丼をかきこんだ。